ご無沙汰しました。
1週間の韓国回航および釜山〜福岡100マイルの
アリランレースから帰ってきました。
『無事な航海を祈念しています。
多少のハプニングは期待!しています。
私は(陸上勤務で航けなくて)大変残念です』
という、渡部さんからのお見送りメッセージのご期待どおり 次から次へ大ハプニング続きの大航海でした。
まずは報道(公式)写真にてその顛末をご想像ください。
一足先に陸上勤務に戻ったM-PRO船上カメラマン(蒲谷)からでした。
4月28日木曜日 関門海峡から対馬へ
木多君盲腸でリタイア |
関門海峡へ |
関門海峡を航く未だ元気なクルー |
巨大船の警戒船に警戒され |
ハーネス試験をする豊田さん |
夕日に向かって対馬へ |
深夜の落水事故 |
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4月29日 対馬にて
対馬の厳原港のMPRO |
対馬名物、江戸時代からの防火石垣 |
レトロなお土産屋さん |
対馬名物のろくべえそば |
対馬 竹敷港で原艇長も合流 |
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万関橋(対馬のスエズ運河)を航く |
対馬竹敷港にて漁師のおじさんにもらったイカの刺身ほおばる |
ライジャケも総動員して |
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4月30日 対馬の寒村、竹敷港にて
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荒天の中、出国を1日延期。海上保安庁警備艇の警備付き |
風圧で張り裂けそうなフェンダー
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5月1日
大波が残る中釜山に向かう |
釜山ランドフォール |
釜山市長杯レースを見ながら入港 |
高層ビル群の中のヨットハーバーヘ |
ハーバーのMPRO |
コーラルリーフ |
レース艇団 |
釜山で入国審査を待つレポーター |
5月2日 釜山にて レース前日で休養、準備をしました。
観光組は、ホテルで手配してもらったレンタル車(運転手付き)で 釜山国際市場でバッタモノなどの買い物をしたり、
チャガルチ水産市場を見学したあと、そこの食堂で あわびやヒラメの刺身をお腹いっぱい食べました。
大急ぎでロッテ百貨店の免税品売り場で高級おみやげを> 買ったのはいいのですが、普通は空港や国際ターミナルで
出国直前に受け取るのですが、ヨットハーバーではどうしたら よいのか?
できるできるという売り場のお姉さんの言葉を 信じて・・・
夕刻アリランレースの艇長会議に続いて、日韓のヨット関係者が集まり、 レセプション(前夜祭)が盛大にありました。
> ここで、前日の釜山市長杯レースのレース艇部門で2位になった コーラルリーフが表彰されました。
賞金は東日本震災お見舞いに 寄付されました。
その後はクルーは三々五々、釜山の街中に消えてゆくのでした。
釜山チャガル水産市場 |
前夜祭で釜山市長杯レース2位のコーラルリーフ表彰 |
ハーバー近くの海雲台ビーチ |
5月3日 いよいよアリランレース当日です。
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ウエザーマーク回航後8.4ノットで快走 |
レース中、前艇を抜き去るMPRO |
福岡の強豪(のふぞう)を追うMPRO |
順風アビーム8.6ノットでのふぞうに追いつく |
後続艇確認 |
対馬沖の風物 イカ釣り船の明かりが眩 |
GPS海図 釜山〜福岡 |
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5月4日 フィニッシュ 5月4日フィニッシュした日の写真です。
レースは対馬まではよかったのですが、それからの微風・軽風では 置いてゆかれました。
フィニッシュ後、私たちは小戸ヨットハーバーで入国手続きを済ませ、 そのまま福岡空港から松山に帰りました。
原さんと田内さんと豊田さんはまだ松山までの回航が 残っています。本当にご苦労様です。
もうハプニングはないほうがいいですね。
午前4時福岡沖をフィニッシュへ |
早朝福岡沖のフィニッシュラインへ |
フィニッシュして小戸(福岡)ヨットハーバー |
今航海で船上カメラマンが学んだ教訓をつけたしておきます。
M-PROアリラン航海で学んだ教訓
その1 出航前には船の全部のハッチを閉めるように肝に命ずべし。
どんな大きな船でも海が荒れるとデッキの上は海水が洗うように
なります。ハッチが開いているとそこから海水が流れ込んで船内は
水浸し(今航海では関門海峡でオーナーズルームのベッドが
海水を被りました。岡本オーナースミマセン)最悪は沈没かも・・・
その2 船酔いは仕方ないけど、風上で吐かないことを肝に命ずべし。
玄界灘は瀬戸内と違う大きな周期の波です。瀬戸内の波に慣れている
身体は違う海況に慣れるまで1日はかかります。船酔い薬を飲むと
酔わないけれど感覚が鈍感になって、操船がうまくゆきません。
その海に身体を慣れさせるのが一番の解決方法(船上カメラマンも
対馬に向かう100マイルでゲロゲロになりました。それも2回)です。
でも、吐くときは風下で・・・
その3 港の中でも落水することを肝に命ずべし。
荒天の海ではハーネス(身体と船体を繋ぐ命綱)にライフジャケット
(救命胴衣)と完全装備しています。命からがら港内に入ると
それらを脱いで、おまけに気分もリラックス。幸時魔多し。
船から桟橋に飛び降りるときに悲劇はやってきます。
加えて、夜陸でお酒を飲んでヨットに帰るときはもっと注意しましょう。
対馬の漁船の船乗りもお酒を過ごしたときは、陸で仮眠して酔いを
さませてから船に戻るそうです。そうでないと酔っぱらって船に渡るとき
落水して死人まででることがあるそうです。
『飲んだら乗るな、飲むなら乗るな』は陸上だけではないようです。
その4 船は出船で泊めて、いつでも出航できるように肝に命ずべし。
風はいつ吹き出してくるか? 波はどちらからやってくるか?
普通は港の向いている方向(海側ですね)からの波や風が強いものです。
また、船は向かい風や向かい波に強くなるように設計されています。
後ろからの波や横風には相対的に弱いのです。
ですから、船を港から出る方向に係留しておくと、あとあといろいろ
都合が良いものです、逆だともちろん出港時も大変です。
対馬の寒村で天候回復を待ったのはこの理由もありました。
まあ、結果的には出られなくて良かったのですけど。
その5 外国でもいいことをすれば、いいことが返ってくると肝に命ずべし。
釜山のチャガルチ水産市場の食堂で豪華なお刺身を頂いて、
お勘定が思ったより大変安くて皆が大満足で帰りました。が、
お店の人が追いかけてきて、計算間違いだったので追加料金
を支払って欲しい、と言われました。そのままにしようかと
一瞬思いましたが、計算をしなおして正規の料金を支払いました。
その後ぶらぶらして駐車場に帰ってくると、お店のアジュマ
(韓国語でおばさん)がサングラスを忘れていたと持ってきてくれました。
よくこの駐車場を見つけてくれたと思うとともに、追加料金とサングラス
の値段を天秤にかける自分に呆れるのでした。
その6 荒天にも負けない体力と精神力を日ごろから鍛錬しておくべし。
海外への航海に限らずクルージングは自然を相手にするものです。
山や海は楽しい反面、容赦をしない環境を作ります。どんな困難な状況
にも負けない体力と精神力を日ごろからつけておきたいものです。
海外旅行をすると急に英語を勉強したくなるのと同じで、すぐ3日坊主に
なるんですけどね。
アリランレース(釜山〜福岡100マイル)参加の他のレース艇のクルーが
言っていました。
『20時間のレースで6時間寝てたら勝てないでしょう』
船上カメラマンは1時間仮眠しましたが、レース終盤ではラット(船の
操縦ハンドル)を持ちながら後ろに倒れるくらい眠かったです。
寄る歳波には勝てないけれど、玄界灘の風と波くらいには負けない
海の男でありたいです。
ちょっと大げさですけど、この航海で学んだ教訓を今後の人生にも
活かしたいものです。今航海とアリランヨットレース参加を実現された
岡本オーナーとヨットに同乗したクルー仲間、それと支援して頂いた
すべての方々(怪我人を運んでくれた対馬のタクシーの運転手さんや
対馬に1艇だけ残されたM-PROを心配して警戒に来られた海上保安庁の
巡視船の方々、釜山観光案内と食糧買い出しを助けてくれたレンタル車の運転手
(食糧をヨットに乗せる際に携帯電話を海に落としたけど、ケンチャナヨ(大丈夫)
と言っていた)さんなどなど)に感謝します。(カムサハムニダ)
船上カメラマン(蒲谷)からの報告でした。 |