蒲谷敏彦のKOREA REPORT '01.10月
肥える秋、皆様如何お過ごしでしょうか。
ソウルではオンドルが入って秋らしくなりましたが、温度調節がうまくゆかず熱帯夜と化し、
蚊まで出てきてあわてて蚊取り線香を焚く、何とも韓国的な秋の夜長です。
さて、アフガンでは報復空爆が続き、米国では炭そ菌テロ騒ぎ、日本では狂牛病と世界中大騒ぎですね。 こんなときには韓国は静かなものです。 今月も KOREA REPORTをお送りします。
先週の金曜日、営業部の朴主任の引越しお祝い(チプトリ)がありました。会社から車で1時間弱のアパートは3LDK、24坪築3年で8000万W(約800万円)だったそうです。 韓国料理は机の脚が折れるくらいご馳走するのが礼儀とされていますが、期待通りの大ご馳走でした。天ぷら、刺身、カルビ、酢豚、サラダ、春巻き、酢の物、スープ、もちろんキムチも数種類。 お酒もビールから始まって、焼酎(ソジュ)、ウィスキー、コニャックの飲み放題で、いつのまにかウィスキーのストレートをコップでがぶ飲み状態でした。 その後はお決まりの花札でゴーストップをしました。20人が集まっての大騒ぎでした。引越しをした後は、家の神様にここに引っ越してきました、よろしくお願いしますと楽しく大騒ぎするのが良いということで、訪ねてきた客もこれでもかと騒ぎます。こんな騒ぎは大歓迎ですね。 それでは今月は皆様お待ちかね、韓国料理のご紹介をしましょう。 辛いだけだと思われている韓国料理も知れば知るほど奥深く、味わい深いものです。 入門編 @カルビ 言わずと知れた焼肉の王様。骨付きカルビは裁ちバサミで給仕のお姉さんが切ってくれます。 韓国でも焼肉奉行ができるようになったら一人前です。 変なことしているとお姉さんに怒られます。私はカルビよりブルコギ(タレ漬け焼肉)の方が好きですけど、みなさん韓国=カルビのようです。 Aビビンパ これももう日本では定番ですね。 トルソ・ビビンパ(石鍋・ビビンパ)がお薦めです。 食べる間暖かく、残ったおこげがまた懐かしくおいしいのです。 KAL(大韓航空)では機内食にビビンパが出てきますが、2年連続世界機内食コンテストで優勝したそうです。胡麻油とコチジャン(唐辛子味噌)が味のポイントです。 Bネンミョン 韓国風冷麺で日本の焼肉屋さんでも出すようになってきました。 ムル・ネンミョン(水冷麺)とビビン・ネンミョンがあります。 ムル・ネンミョンの方は辛くないスープたっぷり、ビビン・ネンミョンは真っ赤な辛いタレで混ぜて(ビビン)食べます。冷麺ですが一年中あります。 写真;
ソウルの銀座、明洞(ミョンドン)の全州ビビンパ専門店 『古宮』の王様ビビンパ。 真鋳の器に入っているのが何とも王様らしい。
もちろん高い。 でも、実は石鍋の安い方が美味しい。 中級編 @サンゲ・タン 雛鳥の腹の中にもち米、栗、ナツメ、松の実、朝鮮人参を詰め込んでスープで煮込んだものです。塩味スープで辛くないので日本人には好評です。でも鶏丸ごと一匹が姿どおりですから鶏肉のダメな人にはダメですね。ちなみにタンは湯でぐつぐつ煮込んだスープのことです。 Aチャンオ・クイ クイは焼きの意味で鰻(チャンオ)の蒲焼です。割いてタレをつけた鰻を目の前で焼いて食べます。辛いコチジャンをつけてキムチと一緒にサンチェなどの野菜の葉っぱで包んで食べるのは焼肉と同じです。残念ながら日本と味が微妙に違うので、以前当社の社長は日本からタレを買ってきて、ソウルの鰻屋の主人にこれで焼いてくれとオーダーしました。さすがに日本と全く同じ蒲焼ができました。韓国人は尻尾が精力剤だといって薦めます。 Bスンドゥブ・チゲ 庶民料理で石鍋にきぬごし豆腐(ドゥブ)、アサリ、卵、ネギを入れてコチ(唐辛子)のスープで煮込んだものです。これは辛い。本当に辛いのですけど、豆腐や卵に少し助けられフウフウ言いながら汗タラタラで食べると、二日酔いのアルコールが吹っ飛んでゆきます。この中にご飯を入れてネコマンマにするとこれがとても美味しい。また、チゲは鍋の意味でテンジャン(味噌)・チゲは韓国風味噌汁鍋ですが、これに蟹が入るとまるで鉄砲汁のようで堪りません。カルビの後のシクサ(食事)にはお薦めです。 上級編 @ボシン・タン 犬肉鍋です。88年のソウルオリンピック開催前に取締りがあり犬鍋屋さんが少なくなりましたが、それでもヨンヤンタン(栄養湯)と名前を変えてどっこい生きています。日本では夏バタ防止に土用の丑の日に鰻を食べますが、韓国では犬肉を食べていました。最近はサンゲタン(鶏肉)に変わりました。犬肉はホカホカと体の中から温まってきて効果絶大ですが、私が食べたときは鍋の中に歯茎と歯が見えました。ヒェーッ Aホンオ・チム エイを醗酵させた料理で木浦(モッポ)地方が本場で有名です。見かけは普通の魚料理ですが、食べると口の中でアンモニヤの臭いと味が一気に拡がります。口に含んで少し味わうのが通だと言われています。健康にも良いそうですがおしっこを飲むとこんな感じでしょうか、サバイバル時の訓練には良いように思います。オェーッ Bポンデギ 天津甘栗のように路端でよく売られています。お嬢さん達が紙に入っているポップコーンの乗りで食べています。が、よく見ると茶色い小指大の塊は蚕のサナギの煮付けたものです。主に子供や女性がおやつ代わりに食べる代物ですが、生ビール屋の肴にもあります。味は想像どおりです。噛むとピュッと虫のほろ苦い体液が出てきて... ゲェーッ 本場の韓国料理の数々如何でしたでしょうか? 本物の秋の味覚を楽しみにソウルへお出かけください。 お勘定以外は責任を持ってご案内致します。
それではまた、来月お話しましょう。 ソウルより 蒲谷 |