蒲谷敏彦KOREA REPORT ’01.9月  


 灯火親しむ季節となりました。
皆様にはいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
ニューヨークのビルに旅客機が突っ込むなど、小説か映画の世界のようですが本当にあるものです。
ソウルは平静を保っていますが、米軍兵士が大きなリュックを背負って出勤?するのと、アパートのエレベータ内で一緒になりました。
今月も KOREA REPORT をお送りします。

さて、昨日は秋晴れの下、北漢山(標高836m)登山に出かけました。家内と韓国語教室で友人のケオナ(桂英花)さん、彼女のご主人の辺(ピョン)さんの4人でした。
辺さんは30歳になる韓国人の好青年です。今は漢南の日式レストラン(寿司や刺身が食べられますが、和食ではなく味はあくまでも韓国の日式ですからそのつもりで食べないとガッカリします。)で働いていますが、以前2年間中国のハルピンの韓式レストランで調理師の修行をしていました。
そこで朝鮮族の美しいOLの彼女と知り合ったそうですが、当初のデートは、韓国語が判らない彼女と中国語が話せない彼とその友達の通訳がいつも一緒だったそうです。
彼女は朝鮮族だとはいえ、「アニョハセヨ」も知らなかったといいます。
それから彼女は韓国語の教室に通い、彼は中国語を少しマスターし結婚することになりました。もちろん言葉が通じたから結婚したわけではありませんが...去年の12月31日に中国で結婚式を挙げ、今年の3月に韓国でも挙式をした新婚ホヤホヤです。
秋晴れとはいえ、日中はまだ暑いソウルの山ですから紅葉にはまだ早く、夏の花で韓国の国花ムグンファが綺麗に咲いています。韓国の若者と中国人の新妻、日本の熟年夫婦が汗をかきながら山道を登ってゆきました。ときおり爽やかな風が木立のなかを吹き抜けます。
木立が切れる岩肌のテラスに立つと遥か眼下にソウルのビルの街並みが見えます。
汗を拭きながらしばし私は、中国で奥さんを見つけた彼と、見ず知らずのソウルに飛び込んできた彼女の若さの特権に思いを馳せました。私がいま少し凝っている16世紀のイタリアの思想家は次のように言っています。

『私は用意周到であるよりも、むしろ果断である方が良いと考える。なぜならば運命の神は女神であるから、彼女を我がものにしようとすれば、うちのめしたり、突きとばしたりすることが必要である。
運命は、冷静なやり方をする者より、こういう人たちに勝利を得させるようである。
要するに、運命は女に似て若者の友である。
なぜならば若者は、慎重に事を運ぶことはせず、敏速にそしてきわめて大胆に女を支配するからである。  ――― ニコロ・マキアベェッリ  「君主論」より ――― 』

話は変わって先日、韓国の運転免許証を取りに行きました。
ソウルの運転免許センターは来年ワールドカップが開催される、まだ工事中のソウル・スタジアムのすぐ近くにあります。日本の運転免許証、日本発行の国際免許証、パスポート、外国人居留証、写真3枚と15000W(1500円くらい)あまりがあれば30分で作ってくれます。さすがに視力検査がありましたが、「えーと、2(イー)。それは(4だけどネッじゃなくて...)」 と思っている
うちに次の数字に、「7(チル)。」はいOKでした。
(1、2、3、4、5、6、7...はハングル読みで、イル、イー、サム、サー、オー、ユク、チル...です。ややこしいのは、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ...という数詞形もあってこちらは、ハナ、トゥル、セッ、ネッ...といいます。日本語の「端(ハナ)から」はここから由来しているという説があります。
よって、「ビール1本下さい」は「メッチュ ハンビョン ジュセヨ」になります。) 色盲検査(黄緑やピンクや灰色の丸が集まっていて何となく数字が見えたり、何も見えなかったりするあの試験です。)もあって、これも6(ユク)、52(オーシプ・イー)と答えてOKでした。
後で会社の方に報告すると、その時は手で4と答えれば良いと言ってましたが、私にもハングルへのプライドが少しはありますから...日本の免許証の期限は2005年11月の誕生日までですが、もらった韓国の免許証は2010年12月5日まででした。韓国人である会社の友人の免許証は有効期限7年で、どうして蒲谷さんは9年なの? と文句を言ってました。
2010年まで韓国に居なさいということでしょうか? ということで日本の免許が切れても韓国ではOKになりました。
国際免許証もソウルで取れるそうです。(しかも、15000W。確か日本では有効期限1年で7800円くらいかかったかと思います。)
という便利な情報でしたが、ソウル在住でないと意味がありませんね。
どんどん韓国人になってゆく蒲谷でした。


*左から、@2001年9月6日に韓国で取得した車の免許証 (書き換えは2010年9月6日〜12月5日とある。韓国でも免許証の写真はどうも写りが悪い?)
Aソウルのバス・地下鉄共通ICカード (残金が無くなってきたら最寄の駅で充填する。
ちなみにバス、地下鉄共市内は600W(60円)) B高速道路のプリペイドカード10万W(1万円)券 (ソウルから100キロ南の天安まで3700W(370円)なので10万W券で充分。
中央の写真は昔の王様が乗った輿。)

当社の天安工場に向かう高速道路端には海水浴場にあるような色とりどりのパラソルやテントが建って、『コボン・ポド(巨峰・葡萄)』を売っています。天安は葡萄の産地でもありました。ラジオからはサザン・オールスターの『いとしのエリー』の韓国語バージョンが流れてきて、過ぎ去った夏の終わりを彷彿とさせるドライブでした。

季節の変わり目、変な風邪など召されませんよう。お元気で。
また来月お話しましょう。

ソウルより 蒲谷
2001年9月17日 11:10