来年5月31日のワールドカップの開会式が行われるソウル市麻浦区(マッポク)上岩洞(サムアムドン)のワールドカップ競技場は3年の月日を掛けて先月竣工しました。
6万5千の観客を収容できる規模はサッカー専用施設としてはアジア一だそうです。
グラウンドの芝は寒さに強いケンタッキー・ブルーグラスというもので、早朝はもう−3℃にもなる寒いソウルでも鮮やかな緑色でした。
スタジアムのロビーの壁と床には江原道産の大理石を使い、大型電光掲示板には気象状況などの各種データが表示されます。なんと言ってもこのスタジアムの良いところは交通の便でしょう。
勤務先の最寄の地下鉄駅(堂山(タンサン)駅)からも乗り換え1回の4駅で行けます。
私のアパートからでも乗り換え1回11駅、約40分で行けます。
元々ここは、東京の夢の島のようなゴミ捨て山だったのを開発して一大スポーツ・コンプレックスにするようです。将来は水泳場やゴルフ場も近接して造られるそうです。地下鉄駅は今回新設されましたが、もとはゴミの山ですから、ゴミの中を走っていると思うと少し臭いような...(もちろんウソですが)
また、新しい話題としては競技場前の漢江に大噴水台を造ったことです。
88年のソウル・オリンピックの時には同じ漢江に架かるオリンピック大橋に聖火の大モニュメントを造って、夜ともなると赤いライトが輝いて今でも恋人達のデートコースになっています。
今回の大噴水台は高さ200mを超える水の塔にレーザービームを当てて、七色に輝くオラベスクを漢江の水面に現出させました。また新しいデートコースが出来たことは間違いありません。
写真;中央日報から)開場を待つソウル・ワールドカップ競技場。この周りを当日券を求めて行ったり来たり...
と、ここまで見てきたように書きましたが半分ウソでした。
当日は朝10時にアパートを出て以前水原スタジアムのコンフェデレーションズ・カップのブラジルVSフランスと同じだと信じて当日券を買いに行きましたが、正午12時から売り出されるという当日券の売り場が良く判りません。
皆が並んでいるチケット販売ブースを3ヶ所もあっちこっち移動して、11時30分に並び替えた頃には延々と1キロ近くの列でした。
当日券は2000枚とか5000枚とか、そこの列は買えないとか、あっちでもう売り出しているとか、とにかくすごいデマ状態(韓国語が判ってもデマはデマ)で案内板や案内係員などは皆無で何がほんとやら判らない状態でした。
案の定、列の最初の人達に少し販売されたところで売り切れ(メジン)になり係員と買えなかったおじさん達が喧嘩してる、それを新聞記者のカメラマンが写真を撮っているという図になりました。
ここからは万国共通、ダフ屋さんの独断場です。一番安い1万W(約1000円)の席も3万Wです。
やり手ババァそのもののようなおばあちゃん(ハルモニ)が客から金を貰うと、闇チケット(アン・ピョ)を客のポケットにさっと突っ込みます。
まるで麻薬の取引をしているようで、下手な韓国語で、『ピョ イッソヨ?(券ありますか?)』 なんて聞いても 『オプソヨ!(無いよ!)』 と相手にしてくれません。
周りには警察もボランティアの係員もウヨウヨしてますから、おばあちゃん達も必死なんでしょう。
地下鉄駅の出口では、券を買う専門(ダフ屋の一味だと思う)のおっさんが駅から出て来た人達に余った券はないかと、『パセヨ。パセヨ。(売ってよ。売ってよ。)』と声を掛けています。
何と言う供給と需要のマッチング。自由市場、資本主義、市場至上主義の縮図を見るような光景でした。
というわけで、新ソウル・ワールドカップ競技場は外から観てお終いでした。カッコワリー。
でも競技場横の麻浦市場は水産物と果物の本物の市場で、新鮮な秋刀魚や太刀魚、エイ、平目、生タコ、牡蠣などを売っています。
市場で魚を買って2階の食堂に持ち込むと、刺身や鍋にしてくれてそのまま食事ができます。
ここはお奨めです。(ダフ屋はいませんが呼び込みのお兄さんはスゴイ。手を引っ張って離してくれません。)
さあ、本番のワールドカップ観戦は万全の準備で臨みましょう。お早めにご予約をどうぞ。
それではまた、来月お話しましょう。
ソウルより 蒲谷