蒲谷敏彦KOREA REPORT 続4月号  

KOREA REPORT (続4月号)

           ―― 大当たり ―― 

案外早く終わりましたね、イラク戦争。

米軍の戦争はテレビゲームだけかと思ったら、イラク政府幹部の

手配写真をトランプにして兵士に配ったとか。今頃、米軍内では

このトランプでポーカーやセブンブリッジでもしているのだろうか?

任天堂で売り出さないかなぁ? ヒットすると思うけど。ついでに

ジョーカーをブッシュにすれば良かったのに。

 

スペードのエースが、サダム・フセインなんだけど出てきませんね。

やっぱり地下レストランで会議中に米軍の爆弾に当たってやられたの

でしょうか? サダムの生まれ故郷はチグリス川流域の地方都市

ティクリート近郊の村だというのは有名になりましたが、誕生日が

いつかはあまり知られていませんね。1935〜1939年の間と推定?

されているが定かでないといいます。公式記録では1937年4月28日

生まれとなっていますから、死んでいれば66歳の誕生日を迎えられ

なかったことになります。

 

サダムの父は幼くして盗賊に殺害されたことになっています。母はその後

再婚し弟が3人生まれます。だから、新聞記事にもやたら異父弟誰それ

という話が出てくるんですね。(以上は 『サダム―その秘められた人生

― コン・コクリン著 伊藤誠・訳』より)

ともあれ、爆弾は本当にサダムに当たったのかどうか?

素朴な疑問が残るところです。


自宅近くの韓国桜(かいどう)


こちら韓国では正真正銘の大当たりがでました。以前お話した宝くじの

ロト6でまたまた大当たりが出ました。史上最高の当選額は407億W

(日本円で訳40億円)で、所得税の22%を除いても手取り31億円余り

だそうです。当選者は朴さんという、江原道の警察官で4月15日に

国民銀行本店に受け取りに来られたそうですが、翌日警察署に辞表

を提出したあと、家族共々行方がわからなくなりました。高額宝くじが

当たってそのまま仕事を続けるのは警察官でも難しいようです。

 

ところで、我が家も先日の金曜日お昼過ぎに大当たりでした。

自宅のアパートの避雷針に雷が落ちました。(ショウモナイ!)

それからお風呂のお湯が出なくなったり、玄関のインターフォンの

チャイムが5分毎に鳴ったりの故障続きです。まあこんな大当たりなら

人生変わったりはしませんが...

 

ということで、前置きが長くなりましたが春も爛漫

皆様いかがお過ごしですか。

桜も散ったソウルから引き続きKOREA REPORT4月号お送りします。

 

 4月16日(水) サッカーW杯はもちろん、釜山アジア大会でも実現

しなかった韓国VS日本戦がソウルW杯スタジアムで開催されました。

会社を6時過ぎに出て地下鉄2号線から6号線に乗り換えるため合井駅

に着くとこれはスゴイ人だかり。もう赤い応援団がホームに沸いています。

車両は夕方の帰宅ラッシュとスタジアムへ行く観客で超満員です。

 

試合開始10分前、スタジアムもまずまずの観客で埋まっています。

1週間前にハナ銀行に観戦チケットを買いに行くと既に売り切れで、

当日のお昼に家内がスタジアム前のダフ屋のお婆さんから、2万W

の席を3万W(約3千円)で買いました。

(家内はもうダフ屋はすぐ判るようになったと言っていますが、

スタジアムの前でお婆さんがウロウロしてたら、誰でも判ると思う。)

 

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の挨拶から始まります。

『パンガッスムニダ (お会いできて嬉しいです)

今日は日本チームの皆さん勝ってください。(観客から大ブーイング)

もちろん、韓国チームの皆さんも勝ってください。(観客から大拍手)

今夜の試合を通して両国の関係がより確かなものになることが、

私達みんなの勝利なのです。』

 

うまい!よっ 大統領! 昨年12月の大統領選挙で盧武鉉を応援

していた韓国サッカー協会会長の鄭夢準(チョン・ムンジュ)は投票日

前日深夜にいきなり共闘を離脱しました。窮地に陥った盧武鉉は

それでも大逆転で大統領の椅子を勝ち取ったのですが、それ以来

もちろん2人は犬猿の仲でした。本日久々に鄭夢準会長の招きで

大統領がスタジアムにやってきたのだそうです。4ヶ月ぶりの再会で

お互いの健康を確かめあったといいます。

 

ダフ屋のお婆さんから買った席はウルトラニッポンの青い応援団が

陣取る反対側のゴール裏、赤い応援団の上(青以外はスタジアム

中皆赤なんだけど)の大画面の下でした。周りはもちろん韓国人

だけで赤の中に普通のスーツ姿です。家内は国歌斉唱のとき

一生懸命韓国の『愛国歌』を歌っていました。こうすれば、しばらく

日本人だと気づかれないかと...

 

キックオフの笛が鳴りました。(主審の顔が白黒にペインティング

されている? どういう意味があったのでしょう。)

韓国チームの赤のユニフォームに紺のパンツ、青のユニフォームに

白のパンツの日本選手が動き出しました。キーパーはどちらも黄色の

ユニフォームです。

 


日韓戦観戦の仲が良い?二人

さあ、大声援の始まりです。今日の相手は宿敵ニッポンですから

トルコや北朝鮮より力が入ります。パワー全開!

『テーハンッミング(大韓民国) チャッチャッチャ、チャンチャン』

『テハンミング テハンミング テハンミング コーリア 

(ベートーベンの第九喜びの歌にあわせて)』

『ウォー コリア、ウォー コリア、ウォー コリア、

ウォッウォッウォッウォッウォッ』

後ろの席のお姉さん軍団が手に持った応援グッズ(赤のビニールの棒。

何ていうんだ?)を打ち鳴らすので、私の頭の上に風が起きています。

 

『アン・ジョンファン! アン・ジョンファン!』

『イー・ウンジェ! イー・ウンジェ!』

『ユー・サンチョル! ユー・サンチョル!』

『イー・チョンス! イー・チョンス!』

選手名でも声援が飛びます。対岸でウルトラニッポンも応援している

ようだけど全然聞こえません。アウェー(敵地)だよなぁ。

 

やはり怒涛のような韓国の攻めです。日本も負けじと押し返しますが

韓国優勢のようです。イー・チョンスのゴールポスト直撃の惜しいシュート

に観客が地団駄踏んで悔しがります。(アカプタ! 家内は隣のお兄さんに

足をホントに踏まれたらしい。)

両チームともにコンパクトサッカーを標榜していますから、どちらの

バックスも押し上げて長さ方向より幅が広い布陣で戦っています。

時々そのバックスの後ろに走りこんでボールを貰うとチャンスになります。

 

が、両チームいつものように決定力に欠け、なかなか点が入りません。

応援も少しダレてきました。前の席の茶髪に茶色のセーター姿の現代風

マスクの彼と白色のカーデガンに同色の髪飾りの少し古風な顔の彼女が

手をつないで、一緒に赤いバンダナを振っていたと思ったら、いつの間にか

彼女がふくれっ面で彼の横腹ゲンコで叩いています。彼はゲームに

夢中で無視してたら、彼女の暴力がますますひどくなって、彼の防戦一方

になりました。ここでも仲が良いのか悪いのか?日韓戦みたいな攻防です。

 

日本ゴール前に韓国選手がボールを持って入ってくると、総立ちになって

見えなくなるので、私達もしかたなく立ったり座ったりでしたが、

後半残り5分間は立ちっぱなしの韓国の連続攻撃でした。

ところが、ロスタイム2分になって日本が反撃。韓国ゴール前でデフェンダー

が蹴ったボールが永井の足に大当たり。ボールは弧を描いてゴールに吸

い込まれました。茫然と立ちすくむ韓国選手と観客達。

 

静まり返るスタジアム。日本選手とウルトラニッポンだけが騒いでいます。

そのまま試合終了の笛がなり、挨拶に近寄ってきた韓国選手に暖かい

拍手が沸きあがりました。私達は勝利の歓喜に浮かれることもなく、

冷めた気分で韓国人たちと共にスタジアムを後にするのでした。

翌日の新聞の見出しは、『92分優勢 30秒で倒れた』(もちろん

韓国が)でした。ジーコ・ジャパン待望の初勝利はソウルでした。

 

そのジーコ・ジャパンの選手たちもSARS(重症急性呼吸器症候群)を

警戒して、飛行機に搭乗するときは青いマスクをしていましたね。

アジアは今この新型肺炎で戦々恐々です。

韓国は中国からの帰国者などで、SARS感染と疑わしき人が6人だと

いうことです。まだ正式感染者は発表されていません。

同僚の海外駐在員にお見舞い方々Eメールを出してみますと、

それぞれ次のような返事が返ってきました。

 

『 心温かきお見舞い有難うございます。

中国はSARS騒ぎで大変な状況です。上海に住んでいる者にとっては

公表されている患者が1名(真偽の程は不明ですが)ということで

そんなに騒いではおりませんが、何人かはマスクをしています。

日本から上海に来られる予定だったお客さんも殆どがキャンセルと

なり、ホテルはがら空き、カラオケ屋やレストランもがら空きで

静かな上海となっています。

先週本来ならば広東省に出張予定だったのですが、さすがに中止しました。

原因と対策がまだはっきりしないので余計に不安を増幅している感じです。

こちらはイラク戦争よりこのSARS騒ぎで経済活動にも影響がでてきて

います。

日本から帰国命令が出て帰国された企業もありますが、当社は専務も

先週は台湾に行かれ、来週は上海に来られる予定で、さすがだと思っ

ています。

このSARS騒ぎが落ち着いたらまた遊びにきて下さい。

カムサハムニダ。謝謝。

                       上海より  A氏 』

 

『 お疲れ様です。

中国は日本・韓国ほど大騒ぎにはなっていません。

私もほとんどが、出張で飛行機を利用していますが

機内でマスクを利用している人は10人程度です。

とりあえず私は、カラオケに行くのを週3回程度に

控えています。健康管理を十分にしてウイルスに

負けない体力を養っておこうと思います。

             北京より B氏 』

 

《筆者注》北京のSARSについては朝日新聞に次のような怖い記事が

載っていましたので、参考に掲載します。

 

『―― 北京でWHO視察直前にSARS患者隠し 米誌報道 ――

世界保健機構(WHO、本部ジュネーブ)が重症急性呼吸器症候群

(SARS)の調査のために訪れた北京の人民解放軍系の病院が、

調査団来訪の直前にSARS患者を隠した疑いがもたれている。

18日、米週刊誌タイムにアジア版(ウェブサイト)が報じた。

 

同誌は医療関係者から手紙を受け取った。それによると15日、WHO

調査団が訪れる数時間前、北京の人民解放軍309病院からSARS

患者40人以上がホテルに移された。また日中友好病院からも31人

のSARS患者と担当医師、看護師、病院職員らが救急車に乗せられ、

調査が終わるまであてもなく市内を走り回っていたという。

(4/19 12:30) 』

 

『 サージウイルス情報を中国も小出しながら、情報公開しており、

危機感?が、高まっております。

上海の感染者は2名となりました。一人目のお父さんだそうです。

現在上記以外の隔離患者は、4名

(内2名は外国人)まだ、確定されておりません。

 

予防として休養、適度な水分、ビタミンの補給と

衛生部が発表した為、当社でも、本日 ビタミンCを社員に対して一人、

一箱配布しました。ありがたく頂戴しました。

新たに、人ごみを避ける、各人衛生に心がける

症状が出た物は、出社せず、国の規定に従うべし

通知を出しました。

 

さすが、中国です、の話題。

中国衛生部の国家中医薬管理局が、漢方薬での予防、

治療案を発表してたことを受けて上海市は、非典型肺炎の

漢方医チームを結成しました。

免疫力を高めたりするのだそうです。

 

また、5/1よりの1週間の休みで、中国政府は、感染地域への

旅行の自粛を発表しました。

初めて、公に自粛の呼びかけを行いました。

今まで、大丈夫の一点張り、だったのですが、

 

旅行会社より5/1からの休みには、空気の良い 山間部への案内が、

消毒済み豪華バスで、人のいない山間部へ、ホテルも外からの人が、

来たことの無い安全ホテル(それって民宿)

保険もバッチリだそうです。

私は、行きません。空気はきれいかもしれませんが、

トイレとか食事が、耐えられそうにありません。

上海より C氏 』

 

(筆者注)韓国でもSARSにはキムチが効くという誠しやかな噂が流れています。そこで海外の韓国人駐在員にはキムチが大量に送付されたとか...

 

『 お疲れ様です。

本当にお久しぶりです。お元気ですか ???

そして、メールありがとうございました。

また、SARS禍につき、ご心配を頂き、厚く御礼申し上げます。

 

ご指摘のとおり、SARS禍、こちらでは大変深刻な状況です。

僕の担当国はマレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムなの

ですが、いずれの国も汚染地域になっております。シンガポールで

は、すでに9人が死亡しておりまして(あの狭いところで)、

しかも感染者がまだ増加しておりまして、(本日で140人) 

今はとても仕事で行ける状態ではありません。

当社代理店も、デスクワークが多くなっているようです。

幼稚園から短大までの学校が無期限の休校となっており、

渡航自粛も外務省から出ており、しばらくは無理ですね。

ベトナムも、ハノイがひどいようです。タイでは、感染者は少ないもの

の、死亡者が二名でています。

マレーシアはと申しますと、 現在マレーシア保健省においては、

SARSである疑いというベースでものを言っており、WHOに正式

な実数がレコードとして行っておりませんですが、 

実情は下記です。(14日朝更新)

 

SARSと疑われる例: 156人

隔離入院中の人:   24人

死亡:          2人

です。

 

マレー半島の、いずれの都市にも感染疑いの例がありまして、

僕の事務所兼マンションの隣に大学病院がありますが、

そこにも5人隔離されています。

僕のマンションには、大学病院に勤務するドクター、ナースが多く、

やはり彼らはマスクをしています。僕も、マスクは常時携帯

(手術用の、3ミクロンまでOKの分。これって、息苦しくて、

ずっとはできないんですよ。つけたり、はずしたりです)の

上で仕事に出ております。

そして帰れば必ず まず手と顔を洗います。

 

本日本社より、出張自粛の指示が出ました。

当然だろうと思います。しばらくは、致し方ないと思いますね。

マレーシアで、気をつけながら、じっくり地に足をつけて、

お膝元を固めなさいと言っているのでしょう。営業の神様がね。(笑)。

                  マレーシアより  D氏 』

 

どうか皆さんSARSには当たらないで、少しオーバーだけど

ホントに死ぬなよ。

海外駐在員は生きててナンボなんだから...

と祈る心に春の雨が降るのでした。

それでは雨にも負けずSARSに負けず、

また来月お話しましょう。

 

            ソウルより 蒲谷敏彦

 

 


SARSではなくて、韓国製マスクの試着


おまけ;SARS対策でマスクは大切。

フランスのTGV(高速鉄道)の車両内にマスクを

かけた乗客が乗り込んで来て、すわSARSかと大パニックに

なったらしいが...

(フランスでは風邪でもマスクをかける習慣がないらしい)

 

ところで、こんなものあったらいいなぁを実現する韓国でマスクを買うと、

少し便利な?マスクに当たりました。

外見は普通の白いマスクですが、上側の鼻に当たる部分に良く曲がる

金属の板が入っていて鼻の形に折り曲げられるようになっています。

これで鼻の高い人でも隙間なく外気を遮断できるという優れものでした。

(そんなに便利?マレーシアのD氏がしている手術用の3ミクロンまで

OKの方が良いみたい。でもマスクと顔の隙間が3ミクロン以上はありそう)

            ソウルより 蒲谷敏彦
      
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