更新日誌('06年10月・11月)
<11月25日 土曜日>
 
J29レストア記B
 マストの整備に取り掛かる。
 マストの点検を兼ねて、永井と2人で塗装皮膜を剥いで行くが、まず、マストの中を通っているハリヤード類は、作業の邪魔になるのですべて抜いてタコ糸をかわりに通しておく。
 アルミマストのウレタン塗装をリムーバーで剥離させ,ナイロンたわし等で除去しながら水洗い。
 この前は、カビ獲り材の塩素の臭気で気分が悪くなったが、今日は、剥離材の強烈な臭気で気分悪くなりながらの作業。

 リムーバーを塗って5分ほどおくと塗装面が浮かび上がってくる。浮いた塗料を一挙に剥ぎ取るのは気持ちが良い。
 これを3度繰り返す頃には、塗料は綺麗に剥がれ落ちる。
 電食を起こしているところは、アルミの地肌に黒くシミのような跡が残っており、この部分は、塗料も剥離し難い。
 アルミと塗料が何か反応をおこしているのかもしれない。
 
 後は、マストを綺麗に磨いてから、ウレタン塗料を吹きつけ予定だが、これは、後日天気の良い日を選んで行おう。
 まず、吹き付け用のコンプレッサーをどこかで都合しなければ。
 
これから剥離材を塗って行く。 剥離材から目と皮膚を守る。 マストトップの凹みをパテで修正しているようだ。 塗料がシワシワと浮いてきた。


 <11月12日 日曜日>
  
このHPを見た環境保全の仕事をする友人からFRP船リサイクルシステムについてメール。

 ”たいへんな船を購入されたものですね。
  昨年末からFRP船リサイクルシステムがスタートしています。
   予備知識でどうぞ。”
  http://www.marine-jbia.or.jp/recycle/index.html

 
FRPの中古船は、吟味しないと安く買っても捨てる方が高くつく時代です!?

 <11月5日 日曜日>
 
J29レストア記A
 この数週間艇内のカビ取りに終始する。
 風呂用カビキラーを20本ほど買って、農薬散布用の噴霧器で、船内に散布。使用マニュアルに目線より上に吹き付けないこととなっていたが、天井のカビが酷いので、かまわず天井から舟底までくまなく散布する。
塩素の強烈な霧を全身に浴びクラクラし気分悪くなりながら散布を終える。体中塩素の匂いが染み付いた。
あと、ホースで水洗いし、船内のカビは綺麗にとれる。これを2回繰り返した。
 まあ、年末のユニットバスの大掃除みたいなもんだね。

 このHPを見た真理子先生から塩素中毒を心配して次のメールを頂いた。
 (J29は、大変だったようですね。
 塩素を吸い込むと肺水腫などの中毒を起こす可能性があるので
 十分換気してくださいね。
 服に塩素が付いたらそれも早く着替えてください
 ・・・・先生、ご注意ありがとうございます。実は、翌日まで体調が悪くなりました。でももう元気です。
 このHPを見て真似される方のないようお知せします。
 
  このあと、腐っているバースの棚板や腰板などの木部を全部剥ぎ取る。FRPの内壁に張ってあるクロスも剥がし、やっとすっきりする。
 何も艇内に無い状態は、グランプリレーサーとしよう。
 
 問題は、船体の強度のために必要なバルクヘッドが、舟底から30cm位は、明らかに腐っていること。
 ドライバーを刺すとカステラのように貫通する。
 ここまで、腐食するのは、相当長期間、水に浸かっていたようだ。
 バルクヘッドは、チークの修正材を張り合わせ強度を持たせ造られているが、これに水が入るとバクテリアが繁殖して、だんだんと木部の腐食が広がっていく。
 場合によっては、サイドステイのチェーンプレートの取り付け部が吹っ飛び、マストが倒壊する怖れもある。
 実際、2005年キィーウエスト・ヨットウイークで、33フィートのレース艇JAZZYのバルクヘッドのチェーンプレートが吹っ飛ぶ事故(Team Jazzy 2005Key West updates)が起きている。この艇は、デッキのサイドステイを止めている部分から、雨水が浸水し、チェーンプレートを止めているバルクヘッドを腐食させたようだ。

 池川ヨット工房さんに見てもらい、修復方法を検討してもらう。バルクヘッドの下部を切り取り、「スカーフ接ぎ」工法で接ぐしかないが、バルクヘッドの取り外しはきかないので、かなり手間とのこと。頭の痛い費用のこともあり検討事項とする。
 
 もう一つの問題は、マストのサイドステイを止めているステンレス金具あたりの電食が酷く、強度に不安があること。
これも深刻な事故につながることであり、時間をかけて点検してゆくこととする。
 

購入直後

腐食したバース剥ぎ取り完了

カビ清掃も完了。バウ出入口の下部あたりが黒く変色し腐っているのが判る。


マストの電食

 <10月11日 水曜日>
 
J29レストア記@
 ヨット、シンシアの6代目に、J29を購入。
 92年に購入した3代目のシンシアもJ29だった。懐かしい思いで一杯。

 購入は、ネット(セイリングジャポンの中古艇情報-錦海クルージングクラブ欄)で見つけ安いように思ったので(タダでも安くなかったのを後で知ることになるが)、館山のオーナーに電話し、写真をメールしてもらうが、送られた5枚の写真では、そんなにひどい状態はなさそうに見えた。
写真のファイル番号に欠番があったのが気にはなっていたが、今思えば船内の床の写真が来てない理由が判る。
 

送られてきた5枚の写真

 
この艇のオーナーである千葉の売主に「運送料が高いなら、乗って帰ったらいいのに」と言われてたし、酷いダメージもないとのことだったので、その言葉を信頼し、現物を確認しないで購入決定した。
 もし、真に受けて回航し、太平洋で吹かれでもしたら一貫の終わりだったろう。

 千葉の館山に海面係留されていた艇を館山の業者さんに頼んで、クレーンで陸揚げし、マストを倒し、トラックに積載。
 運送に2日間ほどかかってアンカレッジマリーナに到着。
 ここまでの費用は、館山の業者作業料が、78,750円、トラックで松山までの運送料300,000円

 早朝の到着だったの、出勤前にアンカレッジマリーナに到着の確認に行く。
 ハッチから、艇の中を覗くを湿気とカビの臭気が物凄い。スーツで中に入れるような状態じゃないのですぐハッチを閉め会社に出勤。
 このときは、まあ、カビだけなら洗浄すれば、問題ないだろうと思っていたのだが、カビはほんの序の口だった。
 

到着したJ29

京都の安本運送さん

バースのマットはカビの培地

バースも棚板もカビと腐食でボロボロ。すべて剥取る

一番の問題、バルクヘッドが腐食しドライバーが貫通


不用品を全部放り出す

千葉の館山から到着したJ29
  
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