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ヘルペス(帯状疱疹)について


 ヘルペスには帯状疱疹と単純性疱疹の2種類があります。ここでは帯状疱疹について記載します。

 帯状疱疹が出るところで一番有名なのは胸(肋骨)ですが、耳鼻科では頸部から側頭部(耳の後ろ〜頭皮)にかけてよく出ます。



T)普通の症状と経過

 肩から耳の後ろへそして頭皮へとチリチリと走るような痛み(神経痛)を感じます。痛みは強くなったり消えたりします。触っても痛くなく、どこが痛いのか分からない不愉快な痛みです。痛みが出てから2〜5日間微熱(37度台)が出て、軽いだるさを感じます。そして1週間ですべての症状が消えて治ります。軽い人はこれで終わりです

U)原因

 
子供のときの水疱瘡(みずぼうそう)の再発です。水疱瘡はビールスです。水疱瘡は終生免疫なので一回かかると生涯かからないはずです。が、実は免疫は徐々に減るのです。幼児期の水疱瘡は治ったあともビールスは完全には駆逐されません。体の神経節の中で細々と生きています。免疫が減ってくると、生き残っていたビールスが神経節内で繁殖を始めます。それが神経痛様の痛みなのです。体の免疫機構は直ちに反応して免疫抗体をつくり始めます。水疱瘡のとき抗体を作ったことがあるので今度は簡単に再増産できます。それで大したことにならずに一週間で退治できるのです。水疱瘡ビールスは再び神経節内に閉じこめられます。以上の普通の経過はすべての人が必ず20年に1回は経験します。あまりに軽いと気付かずに終わる人も多いのです。

V)例外的経過

 抗体の再生産よるビールス退治が遅れたときに起こります。痛みが出て2〜3日後に胸や首筋、耳の後ろ、頭皮の中等に小さなかさぶたの様な発疹が出ます。ひどくなると発疹が線になって連なってきます。神経に沿って発疹が出るのです。強くて不快な痛みが走ります。ひどくなると激烈な痛みが出て、それが神経痛の後遺症になります。

W)耳鼻科領域の重症な経過

 
ヘルペスビールスは神経の中で繁殖します。大切な神経の中で繁殖を起こすとその神経がやられます。耳鼻科領域に多く、顔面神経麻痺、急性前庭神経炎(めまい)、急性蝸牛神経炎(難聴)が起こります。いずれの神経もやられかたがひどいと後遺症が残ります

X)治療

 普通の経過はすべての人が必ず20年に1回は経験します。そして何事もなく治ります。ですから、ヘルペスが出たからと言って全員が治療(内服)を受ける必要はないのです。問題は例外化、重症化する場合です。
 治療薬が20年前に出ました。ゾビラックスといいます(現在は改良薬のバルトレックスが頻用されます)。全員が内服する必要はないので逆に見極めが大切です。


バルトレックスを内服する場合
 1)発疹が出た
 2)神経麻痺が出た
 3)60歳以上
 4)痛みが強い

 発疹が出た場合や神経麻痺が出た場合は直ちにゾビラックスの内服を開始します。若い人は重症化することが少ないのです。また、もし発疹が出ても神経痛が残ることは少ないとされています。老人はしばしば重症化します。免疫産制速度が遅いからです。60歳以上で痛みが強い場合はゾビラックスを処方します。点滴注射にする場合もあります。

 以上の説明は発症後1日〜5日の治療です。1週間を越えれば治る人は治ってしまいますし、重症化の場合もはっきりしています。重症化の場合は早急(発症4日目くらい)に判断して入院などの紹介をします。

Y)まとめ
1)水疱瘡ビールスの再活性化が原因です。
2)すべての人に20年に1度起こります。
3)ほとんどのひとは、軽い神経痛様の痛みだけが1週間続いて後遺症なく治ります。
4)60歳以上の方にはゾビラックスを処方します。
5)発疹がたくさん出たり重症化した場合は直ちに入院などの治療を紹介します。