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「聴こえ、転び、臭い、味わい」の老化




聴覚は60歳から徐々に低下し始めて、65歳以上の25〜40%、75歳以上の40〜66%、85歳以上の80%が老人性難聴とされています。老人性難聴は徐々に進行するので、本人が気づかない場合も多く、難聴、即ち「音のない世界」に慣れてしまうと、後年に補聴器を装着したときに、通常の音環境を「ウルサイ」と感じて、静寂の世界にこもってしまう傾向があります。難聴に馴染む前に補聴器を装着することが大切になります。

姿勢を保って、転倒しないようにする機能を平衡機能と言います。65歳以上の高齢者の30%は毎年1回は転倒すると言われ、10回の転倒に1回は骨折するとされています。内耳の細胞が減少し、中枢の脳の働きが鈍くなり、眼球や体感反射が遅くなるのが理由です。階段の手すりや床の滑り止め、靴の選択など、転倒の予防をチェックしてみましょう。体操やダンスなど「姿勢が変化する運動は平衡機能を鍛える」とされています。

嗅覚は男性は60歳頃から、女性は70歳頃から低下して、75歳以上の30%のひとは「臭いが分かりにくい」と感じています。味覚は60歳頃からゆっくり低下しますが、老化で味覚が完全に失われることはないようです。幸い、嗅覚と味覚の低下は、本人にとっては、データーほどには「困った」とは感じられないようです。

老化と決める前に受診をすることをお薦めします。難聴は耳垢や滲出性中耳炎、転倒はパーキンソン病や内耳疾患、嗅覚障害は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、味覚は舌炎や鉄分欠乏などの治療で改善することも多いのです。