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耳鼻咽喉科ひとくち知識 NO3
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 耳鼻咽喉科は視診(医師が目で見ること)が重要な科です。覗くための光を与えてくれたのが額帯鏡です。昔は額帯鏡は耳鼻科医に限らず医師の必携道具でした。現在は光ファイバーの発達が額帯鏡の役割を終らせつつあります。光がなければ耳鼻科医はただの人です。家で子供の耳垢を取るのは苦手です。
鼓膜は成人で 長径9o、短径8.5o、厚さ0.1o の楕円形の膜です。
喉頭(のどぼとけ)には声をだす働き(発声)と食べ物を気管に入れないようにする働きとがあります。飲み込むとき、のどぼとけを触ってみて下さい。 のどぼとけが上に持ち上がるのが分かります。喉頭が持ち上がると喉頭の上に喉頭蓋という蓋があって、喉頭の入口が閉じるのです。
鼻の働きには空気の通り道としての大切な役割があります。鼻を空気が通るとき、鼻は空気の温度を高くし(加温)、湿度を与え(加湿)、塵りを取り除きます(除塵)。ですから鼻がつまって口で息をすると咽が冷たく、乾き、痰が多くなります。そのため咽や気管の病気になり易くなります。
視覚は方向性がはっきりしています。聴覚は視覚に比べると方向性が厳しくありません。そこに聴覚と視覚の相互補助作用が発揮されます。危険の警告は聴覚から伝えられます。警笛や叫び声などです。注意が喚起されると目で危険の対象を確認し、行動します。5感(視、聴、味、嗅、触)のもつ特性を考えると面白いです。
耳鼻咽喉科学は外科学です。昔は内科学と外科学の2つしかありませんでした。耳鼻科、眼科、泌尿器科などは外科学から分かれてきた科です。小児科、放射線科は内科から分かれてきました。一般に内科は診断学、外科は治療学が中心とされてきましたが、近代医学の発達により今ではその境界がなくなっています。