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中耳ドレーン留置術について
鼓膜にチューブを入れる治療法


 中耳に膿や粘液が溜っていて、鼓膜切開だけで治らない場合に施行します。鼓膜切開で中耳の中に溜った膿や粘液を出しても、鼓膜は4日から10日ぐらいで閉じてしまいます。鼓膜が閉じた後にまた中耳の中にジワッと液が貯まってくることはよくあることです。中耳炎の患者さんに数回の鼓膜切開を施行するのは、この状態に陥った場合です。鼓膜切開を繰り返しても治り難いと判断したときは、鼓膜にチューブを入れる治療をお奬めしています。
 
 方法は鼓膜切開と同じに鼓膜を切った後、切った鼓膜の穴に2mm径のチューブを入れます。入れたチューブは3カ月から6カ月後に抜去します。開いていた鼓膜は2週間から2カ月くらいで閉鎖します。
 
 中耳ドレーン留置術の良いところは 
1)治り難い中耳炎を最も確実に治せる方法であること
2)鼓膜切開を繰り返さずに済むことー鼓膜の傷みも少なくなりますー
3)治療中も聞こえを正しく維持できること
4)薬の量が少なくてすむことです。
 
 チューブを入れている間に注意していなければならないのは、耳の中に汚い水を入れないようにすることだけです。このことだけ気をつけて貰えれば、入浴も運動も生活上の制約はありません。チューブを入れた後は、特別のことがなければ2ー4週に1回の診察をします。

 中耳ドレーン留置術は現在の所、滲出性中耳炎や難治の急性中耳炎の最も近代的な治療法と思います。心配をなさらずにお受け頂きたいと思います。