essay 必ずハッピーエンドにしたい

F君 と J子さんの物語
F君は吉田琢郎を聴いて「フォークソングを歌おう」と思いたちました。それでオリジナル曲を創りました。F君は高校時代にギターのコードを覚えていたのです。歌の練習までは手が回らなかったけど、とりあえずバンドのメンバーを捜しました。しばらくしてバンドのメンバーが集まりました。ギターが上手な幼なじみ(リード)、同じ職場の高校時代にロックをやったことのあるベース、募集でやってきたヤマハで習っているドラムです。Fバンドと名付けました。3コードでイントロして、自由に思いっきり歌って(オリジナル曲なのでコピーはできない)、間奏はギターがテーマをそのまま弾いて、歌って〜、エンディングは揃わないけど、ま、いいか?。1年間、同じメンバーで月2回スタジオ練習、試行錯誤や内部反乱がありましたが、1年後には曲数が10曲になりました。それで自己ライブをすることになりました。大急ぎで、みんなで楽譜を書き直したり、イントロ・エンディングを繰り返し練習したり、厳しいけど楽しい準備期間でした。準備作業を通してバンド仲間との友情も深まったようです。同じ曲を、同じバンドで、同じように100回は歌いました、ライブは義理堅い友達や職場のひとにたくさん来て貰ってすっごく盛り上がりました。その後仲間の転勤などでFバンドは解散しましたが再結成しました。前よりちょっとうまい仲間が集まりました。NewFバンドと名付けました。歌を始めてから3年でずいぶんとうまくなったと思います。オリジナル曲を少しずつ増やしながら続けています。なにより友達が増えたのが嬉しいです。
J子さんはヘレン・メリルを聴いて「ジャズを歌おう」と思い立ちました。J子さんは中学・高校とコーラス部に入っていました。まずジャズ・ボーカルの先生に習いに行きました。先生のピアノ伴奏で半年間で3曲くらいを習いました。「そこが違う」「ここはこう」と厳しい指導を受けました。5曲を覚えました。1年後に教室のおさらい会に出るように言われてAll Of Meを選びました。3ヶ月間、All Of Meだけを練習しました。リハーサルは1回、ひとり20分でした。伴奏の打ち合わせの時間はすごく長かったように感じました。「はい〜いきますよ。」・・・歌う・・・「いいでしょう」「イントロとエンディングだけもう一回やっときましょうか」・・歌う・・「は〜い、ごくろうさま。本番頑張ってね」。なんだか不安でした。おさらい会には両親と親友に来て貰いました。シーンとしたおさらい会の緊張感で足が震えましたが、ま〜ま〜のデキでした。それからも教室に2年間通って、おさらい会にも4回出て、ちょっと自信が出来ました。でも「このままでもラチあかん」とも思い、友達から教えて貰った「アマチュア歓迎のジャムセッション」なるものに行ってみることにしました。そのときになって先生から伴奏の楽譜を貰ってなかったことに気づきました。あわてて赤本というのを買って、自分で楽譜を写しました。楽譜出して「お願いし〜まっす」。・・・・「イントロないね、どうしよう」。そう言われただけで、もうアワアワアワ。「ま、いいか、4小節ね」。なんだかヨタヨタしたイントロ、ピアノもアマチュアだったらしいのです(でもそのときの私は気付きませんでした)。とにかく「歌い出さなくっちゃ・・・・・オ〜ロ〜ビ〜〜〜」。・・・・・・・(;-_-メ;)。・・・止まった。入りが違ったらしい。やり直し。「2小節にしようか」と変わった。・・・・1拍くらい遅れたけど、ま、ま、始まった。うん、ヘンな音、高い!。でも精一杯最後まで歌いました。・・・・「これってキー高くない。きみのキーCじゃないんだよ。それに、ここ、コードへんだよね・・・・あ〜だ、こ〜だ、あ〜だ、こ〜だ。」。いろいろと言われたけど分かんな〜い。真っ白なあたまで席に戻り、どよよ〜んとしずんでました。「お気の毒」ってみんなが見てるような気がします。終わりに1ヶ月後のセッションの案内があったけど「来ようかな、どうしよう。」。誰も声かけてくれないし・・・・。
友達が「あそこはアマチュア・バンドなのよね。アマチュアだとキーがどうのこうのとうるさいし〜、へんな音も出るし・・・。○○○の店はプロがボーカル・セッションのバックしてるんだって・・・」と教えてくれた。「よし、プロのバックで歌ってみよう。気軽に参加してくださいって書いてあるし・・・・」。今度は楽譜を友達のピアニストに書いて貰った。私はキーAだったんだ。・・・・・・「は〜緊張した〜。でもやっぱ、気持ちいいわ〜。さすがプロね。まだまだなのはよく分かったけど、やる気が出てきたわ〜。もっともっと練習してまた来よう」と思ったら、帰りがけ「あんた〜、コピーしてる?。ちゃんとコピーが出来ない人はうちでは歌って貰ったら困るんだよね〜」って言われた。「どうしたらいいんだろう〜、私、ジャズを歌いたいだけなのに〜〜」。歌を始めて3年目のJ子さんでした。 
(続くかもしれない・・・・・必ずハッピーエンドにしたいと思います)
 
Smilly(^-^)Tama ジャズボーカルをはじめた人達の環境をフォークソングの人達との対比で文章を創ってみました。「フォークソングは安易だ」と私が思っていると誤解されると辛いのですが、フォークソングの世界が明るく楽しそうに見えるのは「隣の芝は青い」からでしょうか。ジャズボーカルを志すアマチュアが楽しく続けられる環境を整えたいと願っています。