第2回:CHINA REPORT (4月号)
―― 蘇州戦線異状なし ――
更新日2005/04/17
あれから3〜4回雨も降って、少しは砂埃も流されたりしましたが、それでも相変わらず埃っぽい蘇州です。こちらも春真っ盛りになりました。我が家から東に5分も歩くと行ける金鶏湖畔の公園には桜も咲きました。ご存知の通り、反日デモが中国各地で起こって、ここ蘇州でも先週の日曜日には100人〜何千人(報道機関でまちまち)規模のデモがあったそう(他人事のようなのは、私もその日街中に居たのですが目撃できなかったので)で、上海総領事館から週末は外出自粛とのお達しもありました。家内は『アンネの日記』の何年間も隠れ家から出られなかった主人公の気持ちが今は解る、と大げさなことを言っています。それでも自粛がなかなかできない私たちは、午前中その湖畔公園に散歩がてら歩いて行きました。
公安(中国の警察。日本と同じで電話は110番、消防は119番、でも救急は120番)のパトカーが止まっているので、すわっ反日デモかと思うと、袋を抱えた人たちが逃げてきます。地方から出稼ぎで来ている街頭凧売りの人々でした。暖かくなって緑の芝生がふんだんにあるこの金鶏湖畔公園はオフショアーの風が適度に吹いて、凧揚げには格好の場所です。親子連れやアベックや若者たちが思い思いに中国凧を揚げています。30mも歩くと5人の凧売りが声をかけてきます。不要(プーヤオ)という言葉を嫌でも覚えます。不法販売だけど公安とのいたちごっこは需要があるから成り立っているんでしょう。供給もしっかりしています。ここでも市場経済はりっぱに成立しています。
昼食は我が家の前のレストラン街にある、韓国料理店に寄ってみました。店員が『アニョハセヨ(こんにちは)』、『オソオセヨ(いらっしゃいませ)』と挨拶してくれ、カルビ湯(タン)とパジラク・カルククス(韓国風あさり手打ちうどん)を韓国語で注文して、おまけに並べられた各種キムチや豆腐やナムル(野菜)と一緒に食べると、望郷?の念禁じがたく、一朝事あるときには隣の日本料理店よりこちらに逃げ込んで韓国人のふりしている方が安全かと思うのでした。
逆流するトイレも焦げ臭い洗濯機も治って、今の不満は朝夕、上か下の階からキッチンの換気扇を逆流してくるすごくローカルな中国料理を準備するモノスゴイ臭いでしたが、先手を打ってこちらが朝早く起きて先に換気扇を回すと、どうにか逆流を防御できることを学んだところです。反日デモといい、なんだか逆流が多い赴任しだちの中国です。
静かなときの蘇州
|
追伸:上海に住む駐在員仲間から、日本総領事館を襲撃した反日デモ隊が今自宅のアパート前をシュプレキコールを上げながら通り過ぎていったとの電話がありました。公安のパトカーがデモ隊の後ろについていたとのことですが、とても怖そうでした。
蘇州より 蒲谷敏彦
第3回: |