2006 蒲谷敏彦CHINA REPOR 
蒲谷敏彦
(ぶたに・としひこ)

 今年4月から3度目の海外勤務。中国蘇州に赴任したビシネスマンの中国レポート。駐在員ならではの現地レポート。
松山では、MPRO、シンシアに乗るヨットマン



蘇州 Map


中国 Map

寒山寺から臨む蘇州の甍
寒山寺の鐘なぜか仏像


寒山寺の鐘楼

春節用花火

 

  第4回:CHINA REPORT ('06年1月号)
        ―― 元旦の鐘 ――

更新日2006/01/30 

寒中お見舞い申し上げます。

ずいぶんご無沙汰してしまいました。2005年はいろいろあってちょっと凹んでいました。
年も明けてここ中国・蘇州もやっと年末?らしくなってきました。そう旧正月(春節)がもうすぐです。

明日から当社も待ちに待った年末年始休みになります。さすがに中国は広いというか大きいと思わせるのもこの時期です。11日間もある春節休暇には故郷に帰るのかどうかが皆思案のしどころです。

近いところは汽車で4時間、遠いところでは汽車で38時間なんていう帰省があって、それは地球の裏側に行くより遠いんじゃないと心配やら同情やら誘います。

まだ独身の羅君は今年は帰省しないそうで蘇州で友達と過ごすと言っていましたが、今日彼女のお母さんから家に来なさいとお呼ばれされたらしく、いろいろ質問されるので大変なんです といいながら顔はにやけていました。きっと春節明けにはめでたいお話になっていることでしょう。

このCHINA REPORTの話題を作ってくれることは間違いなさそうです。

さて、私たちも新正月はこの地で過ごしたのですが、大晦日といえば除夜の鐘。除夜の鐘といえば蘇州ではあるいは中国では寒山寺です。

世界遺産になったとかなってないとかは別にして、昔から日本でも除夜の鐘の本場として大変有名な蘇州の寒山寺です。

蘇州に居て寒山寺の除夜の鐘を聞かないわけにはゆかないと、NHKワールド(衛星放送で世界に流しているNHK世界版)の紅白歌合戦を見て日本の除夜の鐘を聞いているとそわそわわくわくしてきます。ところが噂では寒山寺の除夜の鐘を撞くのは今では日本からの観光客が50%、しかも日頃鐘撞き代は5元(約70円)なのに大晦日のこの日ばかりは200元(約2800円)、除夜の鐘の撞き初めは2万元(約28万円!!!)だというではないですか。

おまけに年末の深夜のことタクシーも拾えないくらいの混雑と聞いてすっかり老け込んだ万年青年ことブタニは腰砕けになってテレビの除夜の鐘を聞いていました。

一夜明けて元旦の朝。日本本社の温かい気遣いで頂いた南極越冬隊セットのお雑煮を食べながらまたまたNHKワールドを観ていると昨夜の紅白歌合戦の再放送をしているようで(世界は広いからこの時分に年越ししてる国があるわけですな)、SMAPの『世界にひとつだけの花』なんか歌ってて、白組の圧勝で終わって全員で蛍の光を合唱したりして、すっかりまたまた除夜の鐘気分。

じゃあこれから除夜の鐘撞きに行こうかと、寒山寺にくりだしたのでした。もう後の祭りか(祭りのあと)と思いきや結構中国人が集まってて(日本人はさすがに居ない)、2階建ての鐘楼には1階から行列が出来ています。鐘撞き代は通常代金に戻っていて3回撞いて5元です。本来中国の除夜の鐘は26回(韓国は33回。どちらも日本の108の煩悩よりかなり少ないですよね)撞くのだそうですが、ここの鐘は昨夜からいったい何万回くらい撞かれたのだろうと思いながら待っていると、やっと行列の先頭になってこの有名な鐘(寒山寺の鐘は昔日本人が盗んだとも言われていて、それを聞いた伊藤博文が代わりの鐘を寄贈したとか)は1mくらいの小ぶりなものでした。

1回撞くと10年若返り3回撞くと願いが叶うといわれていますが、前に並んでいた中国人のおばさんは人の分まで撞きたいのか、8回がんばってました。小ぶりの鐘を小ぶりの鐘撞き棒で打つといい音が響きます。

2万元の音も5元の音も同じように元旦の蘇州の空に拡がってゆきます。この鐘のご利益で今年の願いが叶うといいのですが。

元旦の鐘の帰り、蘇州の繁華街の有名なデパートに初売りを見に行きました。どこにこれだけの人が居たのかと思うぐらいの人出です。これから春節のお土産セールのようですが、私は寒い蘇州の冬を乗り切るためにズボン下(昔風にいうと股引ですな)を超一流デパートに買いに行ってみました。

近くのスーパーで家内が9元(約130円)で普通の股引を買ってきたのですが、デパートでもっとかっこいいズボン下はないものかと。ありました、ありました。男性下着コーナーの赤いパンツ(中国では年男、年女は厄除けで紅い下着を履くらしい)の横にブランドものの股引があります。価格を見てびっくり! なんと138元(約1900円!!!) 中国では何でもピンからキリだとはいえ、2万元のと5元の鐘、9元と138元の股引。

この格差どうですか? 中国恐るべし、とまたまた年頭からいろいろ考えさせらたのでした。

このあと、年末に行きそびれた散髪に元旦そうそう行ったのですが、中国の散髪屋の話。それはまたまた驚天動地なのですが・・・ 夜も更けてきたのでまた次回の話だ〜〜 またまた凹まなければね。

             蘇州より 蒲谷敏彦でした。

第5回:

 
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