2008 蒲谷敏彦CHINA REPOR 
蒲谷敏彦
(ぶたに・としひこ)

 今年4月から3度目の海外勤務。中国蘇州に赴任したビシネスマンの中国レポート。駐在員ならではの現地レポート。
松山では、MPRO、シンシアに乗るヨットマン



蘇州 Map


中国 Map


 

CHINA REPORT 2008

―― 聖火が我が家にやってきた ――

 少し早いですが暑中お見舞い申し上げます。

今年はいよいよ北京オリンピックの年、開幕まであと2ヶ月となりました。中国の2008年は春節前の50年ぶりの大雪で始まり、

春にはチベット暴動があったと思うと今度は四川大地震と10年に一度のような大事件が目白押しです。大雪はどうでしたか? チベット問題は? 地震は大丈夫か? と、皆様いろいろご心配ありがとうございました。どうにかブタニのブは2008年も中国・蘇州で生き延びております。

さて、今年もCHINA REPORTの季節がやってきました。月刊ではなくなりましたが、年刊くらいでは続けてゆこうと思っていますのでよろしくお願いします。ところで、私のパソコンに毎日配信される中国の経済情報誌に北京オリンピックに関連した次のような記事がありました。


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五輪開閉幕式に天候操作=雨雲あれば天津で「ストップ」

---- 津市気象局

北京青年報が23日までに伝えたところによると、天津市気象局はこのほど、北京オリンピックの開幕式と閉幕式当日に、北京市上空の南東方向に雨雲が発生した場合は、雨雲を天津市内にとどめる天候操作を行うと発表した。
同局は北京市気象局と共同でまとめた五輪開閉幕式の天候操作に関する計画に基づき、北京市上空の南東方向を管理する。

中国の天気予報は不思議によく当たります。日本と違って、中国は広い大陸なので天気が西から変わるとすれば、西の人が東の人に連絡すれば予報が全て当たるのかと思っていました。日本は西の人が連絡しようにも海の上なので難しいかと・・・ 噂では中国はもう気象操作をしていて、ロケットを打ち上げて雨を降らせたり晴れにするんだとか聞いてはいましたが、この記事によると本当だったんですね。それも気象局が発表しているんですから。まあ、本当かどうか? 北京オリンピックの楽しみがまた増えましたね。開閉会式がほんとうに晴れるのかどうか? 賭けてみますか?


512日午後228分四川省で発生した大地震は時が経つにつれてその被害の大きさに愕然としました。わが社の社員にも四川省出身者が3人居て、一人は雲南省との省境に近いところで大きな被害は無かったようですが、二人は日本でもニュースで有名になった綿陽市が実家でした。地震そのものの被害は比較的少なかったようですが、今はせき止めダムの崩壊が問題になっているところです。地震発生から2週間後に帰省できるようなので二人は会社からのお見舞金を持って帰ってゆきました。



    哀悼の日のテレビ画面 (これが3日間)

地震が起きてからちょうど一週間後の519日から3日間、中国全土は哀悼の日として過ごしました。テレビは外国放送を含めて娯楽番組は一切放送中止で、国内放送は地震関連情報とニュースだけです。NHKのBS放送なども映らなくなりました。かろうじて、英国BBCと米国CNNが放映されていました。夜の街も閑散としています。映画館も酒屋も臨時休業ですし、ホテルやレストランなどあちこちで募金がされていました。

その哀悼日の影響で北京オリンピックの中国国内聖火リレーも計画変更になりました。当初522()に蘇州を走る予定だったのですが、3日延期されました。仕事と聖火リレーどちらを取るかと思っていた私には、ウィークデーからサンデーに変わったのはラッキーでした。これは見に行かねばならないと土曜日に下見にゆくと、どうも聖火の最終到着点は我が家の目と鼻の先、世紀広場という場所です。といいうことは17階の我が家から見下ろせるところを聖火が通る? 高みの見物としゃれるか。

当日朝8時からのテレビの特別番組を見ていますと、蘇州の西郊外の広場で蘇州市長、蘇州共産党書記長の挨拶のあと、聖火ランナーが次々とリレーしてゆきます。20〜30m走ると次にバトンタッチで104人で繋ぐんだそうです。我が家から見下ろす車道や歩道はいつにない賑わいで国旗とオリンピック旗を売ってたり、オリンピック記念Tシャツなども売っています。日本だと、たこ焼きや綿飴なんかの屋台がでてくるところでしょうが、どうもそれはダメみたいで食べ物は売っていません。警察官が方々で道路封鎖と規制をかけています。


        テレビの中を走る聖火リレー

我が家の前を行く聖火

我が家の北の部屋の窓からビールを飲みながら、デジカメと双眼鏡を交互に持ち替えて今か今かと待っていると、予想より早く、10時少し前に聖火がやってきました。継ぎ火をすると世紀広場の方に曲がってゆきましたが、ここからは大きなビルの陰で全然見えません。次のリレー地の無錫市と引継ぎセレモニーでもされていると思うのですが、これも見えません。ただ、アパートの下を大勢の人達が集まっていきます。式典も終わり関係者は早々とバスや高級車に乗って引き上げて行きますが、それでも群集は集まってきます。それを規制する警官隊がまた増えてきました。上から見ていると蟻の群れが砂糖に集まってくるようです。群集が四川大地震で流行になった、『中国加油! 中国加油! (中国ガンバレ!)』のエールを合唱しています。かれこれ、2時間は聖火とあんまり関係なく騒いでいましたが、大きな混乱もなく午後には正常なわが町にかえりました。やれやれ・・・

 


聖火式が終わってもこの騒ぎ(聖火式はビルの向こうであった)


中国では今密かに携帯電話であるメールが出回っています。曰く、中国の詩仙といわれる詩人・李白(701年〜762年)の詩に

『 北暮蒼山蘭舟四
  京天落霞総清川
  奥年叶落緑分地
  運水微漾人却震 』
というのがあって、最初の文字を縦に読む(詩自体は横に読む)と北京奥運(中国語で北京オリンピックの意味)、最後の文字を縦に読むと四川地震となるという。北京オリンピックの年に四川大地震があるという、ノストラダムスの大予言の中国版なんですけど・・・ ほんとに李白の詩でこんなのあるんでしょうか? お暇な方はぜひご研究ください。

 

これから酷暑、暑い暑い日が続きますが、どなた様もお元気で。CHINA REPORTはまた来月(来年)のこころです。

蘇州から北京オリンピックの大成功と四川大地震の早期復興を祈る蒲谷敏彦でした。


第9回:

 
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